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自律移動ロボットに関する研究


私たちの研究グループは自律移動機能を持つサービスロボットや災害対応ロボット,搭乗型モビリティの研究開発を行っています.






速度制約領域を用いた自律移動ロボットの行動計画

近年,自律移動機能を持つサービスロボットやレスキューロボットの研究開発が盛んに行われ,実用化が期待されています. その実現のためには安全性について考慮し,向上させる必要があります.  そのため私たちは,自律移動ロボットの安全性向上に関する研究,リスクアセスメントに関する研究を行っています.


速度制約領域に関する研究

 速度制約領域とは,移動速度を抑えるべき危険領域や進入禁止領域のことをいいます. 走行可能か不可能か,もしくは移動速度を抑えることで走行可能かといった判断が,ロボット自身の観測では難しい領域において, 既知環境であれば事前に人間が制限速度の情報を与えることでより安全により効率的に目標地点までの行動計画が行うことができると考えました.  そこで本研究では,Global Dynamic Window Approachという手法を改良し,速度制約領域を考慮可能とした行動計画(経路計画+軌道計画)法を提案しています. また,提案手法の有効性を確認するために,軌道計画シミュレーションや実機検証をおこなっています.

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   Fig. 1 実環境のイメージ図           Fig. 2 シミュレーション結果

   (Image of the Real Environment)      (Simulation Result of the Motion Planning)


走行路面の分類に関する研究

自律移動ロボットは舗装道・芝・砂利道・土等の多種多様な路面状態において課せられたタスクの達成が要求されます.このような状況において,ロボットが走行する路面の状態を分類することは,ロボットのより安全かつ効率的な経路計画の実現につながると考えられています.  本研究では,加速度センサから得られる振動データと,距離センサ(LRF)から得られる反射強度データと距離情報を,Support Vector Machine(SVM)という学習モデルを用いて学習させることで走行路面を認識・分類する手法を提案しています. さらに,得られた分類結果に適切な速度の制約を与えることで,前述の速度制約領域の作成も行っています.

SVM1.jpg         SVM2.jpg

  Fig. 3 走行路面の種類(the Classification of Road Surface)    Fig. 4 路面の分類結果(The Result of the Classification)


実環境における走行テスト(つくばチャレンジ)

私たちの研究グループは実環境における自律移動ロボットの走行評価テストのために,つくばチャレンジに参加しています.  つくばチャレンジとは,つくば市内の遊歩道などを自律移動ロボットに走行させる技術チャレンジです.歩行者や自転車の往来がある一般道で,私たちの研究の有効性を確認しています.  また,大学の研究室や国立研究所,企業などから多数のチームが参加しており,他の研究グループとの技術交流も行っています.

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Fig. 5 自律移動ロボットRMP200 (The developed robot)

Fig. 6 つくばチャレンジ(動画) (The Movie of RWRC)


乗り心地と速度制約領域を考慮した軌道計画

 本研究は搭乗型であるパーソナルモビリティを自律走行させることを目的としたものである. 特に,実環境を走行する上で重要となる安全性や搭乗者の存在に着目し,速度制約領域と 乗り心地を考慮した自律移動のための軌道計画法の提案を行った. また,提案手法の有効性を図に示すような移動体を用いて被験者実験により検証した.

Example

参考文献

  • K.Goto, K.Kon, F.Matsuno, "Motion Planning of an Autonomous Mobile robot Considering Regions with Velocity Constraint", Proc. IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems(IROS2010), Taipei, pp.3269-3274, 2010
  • 後藤清宏, 根和幸, 松野文俊, "速度制約領域を考慮した自律移動ロボットの行動計画",日本ロボット学会誌,vol.28,no.8,pp.930-937,2010
  • Tae Hyon Kim, Kiyohiro Goto, Hiroki Igarashi, Kazuyuki Kon, Noritaka Sato and Fumitoshi Matsuno: Path planning for an autonomous mobile robot considering a region with a velocity constraint in a real environment, ARTIFICIAL LIFE AND ROBOTICS, Vol. 16, No. 4, pp. 514-518 (2012)
  • 新隼人, "移動ロボットのための走行路面分類に基づく速度制約領域の生成手法", 電気通信大学修士論文, 2011 後藤清宏, "乗り心地と速度制約を考慮した搭乗型自律移動ロボットの軌道計画", 電気通信大学修士論文, 2010
  • 原子力発電所の探査に関する研究


    NBC災害を想定した移動ロボットプラットフォームMATOI

     本研究では,NBC(nuclear, biological and chemical) 災害対応のための移動ロボットプラットフォームの開発を行っています. 特に,屋外を自律的に走行し環境情報を取得する環境モニタリング用途向けに機能の開発を行っています. また,放射線環境下での動作を想定し,移動体に用いられる各種センサの耐放射線性能評価なども行っています.


    MATOIの開発

     図は現在開発を行っているMATOIの外観を示したものである. MATOIには,レーザレンジセンサ,カメラ,GPS,ジャイロセンサ,放射線測定装置などが搭載されている. これらセンサデータに基づき自律的に環境を走行し,環境情報を収集するなどの機能の開発を行っている. また,開発を行ったMATOIを原子力発電所構内で走行させ,その基本性能の確認を行った.

    Example

    センサの耐放射線性能試験

     カメラなど光学機器や半導体など放射線の影響を受けることが広く知られている. 一方,近年移動ロボットに障害物検知や地図生成の用途で多く用いられレーザレンジセンサについては その評価を行った報告が少ないのが現状である. そこで,本研究では4種類のレーザレンジセンサに放射線(ガンマ線)を照射しその耐放射線性能を評価する実験を行った. この実験の結果,各センサの性能について確認でき,またそれぞれに故障特性があることが分かった.


    参考文献

  • 根和幸, 金テヒョン, 新隼人, 安部祐一, 花本惣平, 山崎隆太, 五十嵐広希, 佐藤徳孝, 亀川哲志, 松野文俊, "災害対応を想定した移動ロボットプラットフォームの開発 第2報:遠隔と自律に対応したソフトウェアモジュールの開発", 第12回公益社団法人計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会(SI2011),2011
  • Kazuyuki Kon, Hiroki Igarashi, Noritaka Sato, Tetsushi Kamegawa and Fumitoshi Matsuno, Development of a Practical Mobile Robot Platform for NBC Disasters and Its Field Test, Proc. IEEE International Symposium on Safety Security and Rescue Robotics (SSRR2012), 2012.
  • Hiroki Igarashi, Kazuyuki Kon and Fumitoshi Matsuno, Evaluation of sensors for mobile robots based on irradiation experiment, IEEE/SICE International Symposium on System Integration (SII),pp.212-217 2012
  • Hayato Shin, Kazuyuki Kon, Hiroki Igarashi, Yuichi Anbe, TaeHyon Kim, Sohei Hanamoto, Ryuta Yamasaki, Satoshi Toyoshima, Noritaka Sato, Tetsushi Kamegawa and Fumitoshi Matsuno, Hardware-Software Integration of a Practical Mobile Robot Platform, 2011 IEEE/SICE International Symposium on System Integration, F4-1, 2011