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複数ロボットの制御


複数のロボットの制御を研究しています。


    



群行動アルゴリズムを用いた複数ロボットの移動制御

多数のロボットを同時に移動させるにあたり,それぞれのロボットが他のロボットや障害物と衝突せずに目標地点に到達する機能が必要とされます. このような機能を実現する手段として,自然界で見られる“群行動”という現象を参考にしたアルゴリズムが提案されています. 鳥や魚の群れには各個体に指示を出す特定のリーダが存在せず,各個体が自分の周囲の仲間との距離や速度を調整しながら移動しているだけにも関わらず,互いに衝突したり群れが分裂することなく,群れの形状を柔軟に変形させて障害物を回避しながら移動する様子が観察されており,このような現象が群行動と呼ばれています. リーダが群れの各個体に指示を出して群れを形成する場合,群れの個体数が増えるとリーダへの負担が高まり,群れを維持することが難しくなります. 一方,各個体が自分の周囲の情報だけを利用して自律的に移動する場合,個体数がどれだけ増えても各個体への負担は変わらず,群れを維持することが可能になります. このような群行動をロボットの群れに適用したアルゴリズムが群行動アルゴリズムです.


近傍のロボットと障害物の識別を必要としない制御アルゴリズム

従来の群行動アルゴリズムでは,各ロボットは周囲のロボットの位置情報および速度情報,障害物の位置情報を利用して制御量を決定していました. しかしアルゴリズムを実際のロボットに実装する場合,センサで得た情報のみから周囲に存在する物体が同じ群れを形成する別のロボットなのか障害物なのかを判断するのは,生物にとっては容易でもロボットにとっては容易ではない場合が存在します. 同様に他のロボットの速度を正確に得ることも困難であり,これらの情報が必要なくなればアルゴリズムの簡略化や実装が容易になると期待されます.

そこで本研究では,近傍のロボットと障害物を識別せずに同じ制御則を適用するアルゴリズムを提案します. この制御則において他のロボットの速度情報を用いず,距離センサなどで検出した物体上に仮想的なロボットが存在すると考え,その仮想ロボットの速度を自分の速度と目標速度から計算して与えます. そしてこの仮想ロボットと衝突しないように位置や速度を調整することで,他のロボットや障害物と衝突せずに移動することができます.


Example

上の図はシミュレーションの結果を表します. 中心の赤い三角形が群れ全体の目標状態を仮想的なロボットとして表したもので,その他の赤い丸が実際に群れを形成するロボットを表します. 初めは分散していたロボットが目標状態を表す仮想ロボットを中心に集り,互いに距離を保ちつつ移動している様子が確認できます. また,群れの正面に障害物が現れると群れを柔軟に分裂させて障害物を回避し,再び1つの群れに集合している様子が確認できます.

上の動画は実際にロボットを用いた実験の様子です. このロボットは本体上部に取り付けられた距離センサの情報を使って他のロボットや障害物の位置を検出し,提案手法に従って移動しています. シミュレーションと同様に,各ロボットが他のロボットや障害物と衝突せずに群れを維持したまま移動している様子が確認できます.


参考文献

坂井, 福島, 松野, 近傍のロボットと障害物の識別を必要としない移動ロボット群の制御アルゴリズム, 計測自動制御学会論文集, Vol.49, No.8, 2013.


未知障害物のある環境における複数ロボットによる移動体の協調追い込み

未知の障害物がある通路状の環境において,複数のロボットを協調的に動かすことによって対象を環境の端に追い込んで捕獲する研究です.対象がどんな速さ,大きさであっても必ず捕獲することができるアルゴリズムを提案しています.


問題設定

[ロボットは測域センサを搭載しており,周囲の障害物との距離を測定することができ,また自己位置を取得可能であるとします.さらにロボットはホストコンピュータと通信可能であり,測域情報および自己位置を送信可能です.各ロボットへの速度入力はホストコンピュータ内の集中制御器によって生成されます.各ロボットは円形の捕獲可能範囲を有し,そこに入った対象は必ず捕獲されるとします. 対象が逃走できないようにしながら廊下の行き止まりに追い込むためのロボットの軌道を生成することが本研究の目標です.

Example

提案手法

各ロボットが取得した測域データを合成して周辺の環境情報を取得し,通路の数や幅を認識します.それに基づいてロボットの行動パターンを変えることによって,環境中をもれなく探索し追い込みを行います.行動パターンは「基本隊形」.「分岐・合流」,「引き返し」,「再配分」,「反転」の5種類で,以降これらを「モード」と呼びます.

・基本隊形:障害物が近くにないときのモードで,廊下の幅方向に等間隔に並びながら進みます. ・分岐・合流:障害物によって通路の数が変化するときのモードで,通路の数と幅に応じて適切にロボットの配分をします. ・引き返し:凹障害物がある場合に,ある通路が行き止まりになったときのモードです.行き止まりに直面したロボットは引き返して他のグループに加わります. ・再配分:通路幅が広くなって,そこにあるロボットだけでふさぎきれなくなったときのモードです.この場合は余裕のある通路からロボットを補充します. ・反転:障害物を通過した後に,後方に通路が見つかったときのモードです.環境の方向付けを逆転することによってその部分の探索を行います. 以上のモードを切り替えることによって追い込みが達成されます.


参考文献

  • 吉本 昌弘,根 和幸,松野 文俊: “未知障害物のある環境における複数ロボットによる移動体の協調追い込み",pp.0231-0236, 第14回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会,2013.

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