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ヘビ型ロボットについての研究

生物のヘビのように細長い体型を持つヘビ型ロボットは, その特殊な体型や自由度の大きさから, 探索救助活動や配管の検査など様々な場での活躍が期待されます. 松野研究室ではこれらの応用を視野に入れながら, ヘビ型ロボットの制御などの理論的基礎を固めるための研究を行っています.

  • 複雑環境上での制御
  •     歩容設計手法
        不整地の移動
        配管上のフランジ乗り越え
  • ヘビ型ロボットの制御
  •     ヘビ型ロボットの推進制御
        ヘビ型ロボットの協調制御
        ヘビ型ロボットのまきつき制御
        ヘビ型ロボットの跳躍制御
  • 生物ヘビの運動解明に関する研究
  •     生物ヘビのSinus-lifting運動に関する研究
  • ねじ推進ヘビ型ロボット
  •     ねじ推進ユニット
        先頭追従制御
  • 水陸両用ねじ推進ヘビ型ロボット
  •     多様な移動
        重心位置の軌道追従制御

    複雑環境上での制御

    災害現場やプラント設備のような複雑な環境におけるヘビ型ロボットの制御手法について研究しています.現在は主に移動手法について取り組んでいますが,作業への展開を目指しています.

    歩容設計手法

    直線,円弧,螺旋といった単純な形状を組み合わせることで目標形状を設計し,その形状に実際のヘビ型ロボットの形状を近似することで動作を実現する手法を提案しました.この手法により,直感的に複雑な動きを設計することができます.


    GaitDesignMethod.png

    不整地の移動

    上記の歩容設計手法を用いて,不整地を移動するためのcrawler-gaitという歩容を設計しました.このcrawler-gaitでは,ヘビ型ロボット全体が大きなクローラーベルトのようにふるまうため,未知の不整地であっても簡単に推進することができます.

    配管上のフランジ乗り越え

    上記の歩容設計手法を用いて,配管上のフランジを乗り越える歩容を設計しました.この手法では,垂直な配管に滑落しないようにらせん状に巻き付きながら,局所的に体を持ち上げることでフランジを乗り越えることができます.


    MovingOverFlange.png

    参考文献

  • Tatsuya Takemori, Motoyasu Tanaka, Fumitoshi Matsuno, Gait Design of a Snake Robot by Connecting Simple Shapes, 2016 IEEE International Symposium on Safety, Security and Rescue Robotics, pp. 189 – 194, 2016
  • 竹森達也, 田中基康, 松野文俊, “ヘビ型ロボットの複雑環境における運動設計と制御”,第17回システムインテグレーション部門講演会

  • ヘビ型ロボットの制御

    ヘビは手足がなく紐のような単純な体にも関わらず,うねりながらの推進や木登りなどの様々な動作をすることができます.ヘビを模倣したヘビ型ロボットに対して,生物のヘビと同様の動作を実現し,さらには生物を超えた動作を行わせることを目的として研究を行っています.

    推進制御

    目標軌道へ追従しながら生じる様々な問題を,冗長性を利用することで解決します.例えば,ヘビ型ロボットは車輪が平行や円弧状(特異姿勢)になると推進できなくなりますが,冗長性を利用することでこれを回避しながら推進することができます.

    動画1.冗長性を利用した特異姿勢回避推進制御



    冗長性を利用しなかった場合(動画左)は推進中に特異姿勢となって停止してしまうのに対し,冗長性を利用した場合(動画右)は特異姿勢に陥ることなくうねりながら推進していることがわかります.

    動画2.3次元軌道追従制御



    また,3次元的な目標軌道を考えた場合,ヘビの転倒回避などを考慮する必要があります.転倒回避を考慮しない場合(動画case1)では推進途中で転倒してしまいますが,冗長性を利用した場合(動画case2)では転倒せずに推進することができます.

    参考文献

  • 佐藤,田中,松野,“動力学モデルに基づく蛇型ロボットの軌道追従制御”,計測自動制御学会論文集,Vol.42, No.6, pp.651-658,2006.
  • M. Tanaka, F. Matsuno,“Experimental study of Redundant Snake Robot Based on Kinematic Model”, Proc. IEEE Int. Conf. on Robotics and Automation, Apr/2007.
  • 田中,松野,“3次元ヘビ型ロボットの冗長性を利用した制御”,計測自動制御学会論文集,Vol.44,No.12,2008.
  • M. Tanaka, F. Matsuno,“Control of 3-dimensional snake robots by using redundancy”, Proc. IEEE Int. Conf. on Robotics and Automation, May/2008.
  • 協調制御

    ヘビ型ロボットは先頭からいくつかのリンクを持ち上げるとロボットアームのように動作することができます.これに着目し,複数のヘビ型ロボットが協力して物体を運ぶ協調運搬作業を実現する制御則を提案しています. 力制御を行わなかった場合(動画1)は接触力が様々な方向を向いてしまっており,実際には物体を把持することができません.一方,力制御を行った場合(動画2)は接触力が常に把持を保つ方向に働いており,対象物の把持運搬が実現できていることがわかります.

    動画1.力制御を行わない場合



    動画2.力制御を行った場合



    また,以下の図に示す実機を用いて制御則の有効性を検証しました.


    ./photo/2_snake_robot.JPG

    参考文献

  • 田中,吉川,松野,“2台のヘビ型ロボットの協調制御”,日本ロボット学会誌,Vol.24,No.3,pp.400-407, 2006.
  • M. Tanaka, F. Matsuno,“Cooperative Control of Three Snake Robots”, Proc. IEEE Int. Conf. on Intelligent Robots and Systems, Oct/2006.
  • 田中,松野,“3次元ヘビ型ロボットの協調制御”,第25回日本ロボット学会学術講演会,1F35,Sep/2007.
  • 巻き付き制御

    ヘビは木登りなどで円柱曲面を巻き付きながら移動することができ,ヘビと同様の推進原理を持つヘビ型ロボットも同様の方法により円柱曲面上の移動を実現できると考えられます.そこで,円柱曲面上をうねり推進しながら目標軌道の追従を実現する制御則を提案しています.

    また,以下の図に示すような物理シミュレーションにより制御側の有効性を検証しました.


    makitsuki.jpg

    円柱曲面上を推進する場合は,軌道への追従や特異姿勢の回避の他にロボットの滑落を回避する必要があります.ヘビ型ロボットの円柱へ巻き付く力を考慮することによりロボットの滑落を回避し,目標軌道を追従することができます.

    動画1.ヘビ型ロボットの円柱推進制御



    参考文献

  • H. Tsukano, M. Tanaka, F. Matsuno, “Control of a Snake Robot on a Cylindrical Surface Based on a Kinematic Model”, SYROCO, Sept/2009.
  • 跳躍制御

    生物のヘビには跳躍力の高いヘビもおり,ヘビ型ロボットで跳躍を実現することができれば, ヘビ型ロボットのさらなる運動性能の向上や生物のヘビの跳躍原理の理解につながると考えられます. 大きな跳躍を実現するためには, できる限り大きな摩擦力を地面から得て滑りを抑える必要があります. 一方, ここで扱うヘビ型ロボットには摩擦の異方性があるため, ロボットの滑りやすさは接地している部分の姿勢に大きく影響されます. そこで,跳躍時に滑りにくい接地部分の形状を決定する評価関数を提案し,跳躍に適した形状を導出しました. これにより,滑りの少ない跳躍を実現することができました.



    参考文献

  • K. Hoshino, M. Tanaka, F. Matsuno, “Optimal Shape of a Snake Robot for Jumping”, Proc. IEEE Int. Conf. on Robotics and Automation, May/2010.

  • 生物ヘビの運動解明に関する研究

    自然界に生きるヘビは普段腹部全体を地面と接しながら屈曲して移動することが観察されています.ところが,屈曲した体形のうち, 曲率の大きな部分を地面から持ち上げながら前に進むSinus-lifting運動や,持ち上げ動作をしながら横方向に進む横這い運動 (Side-winding運動)を行うヘビも存在します.生物ヘビは移動時に消費するエネルギーを抑えるためにこれらの運動をしたのではないか という観点から,移動時に消費するエネルギーに着目し,ヘビ型ロボットを用いてこれらの運動を解明する研究を行いました.

    生物ヘビのSinus-lifting運動に関する研究

    ヘビ型ロボットが移動時に消費するエネルギーを,屈曲に消費するエネルギー,体を地面から持ち上げるためのエネルギー, 持ち上げ動作を保持するためのエネルギーの3種類に分けてそれぞれを定義しました.ヘビ型ロボットに対して単位移動量に消費したエネルギーの最小化を行い, 生物に観察されたSinus-lifting運動が創発されるかどうかを調べました. その結果,生物のヘビの場合と類似の条件でSinus-lifting運動が生じることを確認できました.



    参考文献

  • Satoshi Toyoshima and Fumitoshi Matsuno: “A Study on Sinus-lifting Motion of a Snake Robot with Energetic Efficiency”, Proc.IEEE Int. Conf on Robotics and Automation, pp.2673-2678, May, 2012.

  • ねじ推進ヘビ型ロボット

    松野研究室で開発されたねじ推進ユニットと呼ばれるユニットをいろいろな形に結合させることにより、多様な推進(前後左右の移動や旋回など)を実現し,災害現場での被災者探索や,配管内や狭隘地等での人間に代わる作業用ロボットの開発を目的としています.


    ./photo/nejihebi.JPG

    ねじ推進ユニット

    ねじ推進ユニットには,右に回転させて前に進む右ねじユニットと,左に回転させて前に進む左ねじユニットがあります.この2種類のねじ推進ユニットを組み合わせて作ったものがねじ推進ヘビ型ロボット通称ねじ蛇です.ねじ蛇は,ねじ推進ユニット間に2自由度関節を導入し,関節の屈曲により,円軌道やクランクなどに沿った移動が可能になりました.


    ./photo/nejiunit1.JPG

    先頭追従制御

    ねじ推進ユニットには,右に回転させて前に進む右ねじユニットと,左に回転させて前に進む左ねじユニットがあります.この2種類のねじ推進ユニットを組み合わせて作ったものがねじ推進ヘビ型ロボット通称ねじ蛇です.ねじ蛇は,ねじ推進ユニット間に2自由度関節を導入し,関節の屈曲により,円軌道やクランクなどに沿った移動が可能になりました.

    動画1.全方位移動



    動画2.円軌道追従



    参考文献

  • Hara, M., Satomura, S., Fukushima, H., Kamegawa, T., Igarashi, H., & Matsuno, F. (2007, April). Control of a snake-like robot using the screw drive mechanism. In Robotics and Automation, 2007 IEEE International Conference on (pp. 3883-3888). IEEE.
  • Ariizumi, R., Fukushima, H., & Matsuno, F. (2011, September). Front-unit-following control of a snake-like robot using screw drive mechanism based on past velocity commands. In Intelligent Robots and Systems (IROS), 2011 IEEE/RSJ International Conference on (pp. 1907-1912). IEEE.
  • Fukushima, H., Satomura, S., Kawai, T., Tanaka, M., Kamegawa, T., & Matsuno, F. (2012). Modeling and Control of a Snake-Like Robot Using the Screw-Drive Mechanism. Robotics, IEEE Transactions on, 28(3), 541-554.

  • 水陸両用ねじ推進ヘビ型ロボット

    ねじ推進ユニットをスクリュー化した水陸両用ねじ推進ヘビ型ロボットを2016年に開発しました.現在は2リンクの構成となっており,二つのスクリュー駆動用モータと関節による3自由度を持っています.このロボットは水中探索に役立つことが期待されており,ウミヘビのようなうねり動作を必要としないため,狭い領域にも進入可能となっています.


    ScrewDriveUnit.png

    従来のねじ推進ヘビ型ロボットと同様に,左右のねじで構成された2種類のねじ推進ユニットがあります.この仕組みにより,水中での前後左右への移動が可能となります.


    ScrewDriveUnit2.png

    多様な移動

    次の動画では,ロボットの多様な移動を紹介しています.

    動画1.多様な移動

    重心位置の軌道追従制御

    次の動画では,ロボットの関節角を固定し,フィードバック線形化PD制御を用いてロボットの重心位置の軌道追従制御を行っています.

    動画2.重心位置の軌道追従制御